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歯科治療イスのはなし

ユニット全体

まず、歯医者さんに来たことがある人なら必ず座ったことがあるこのイス。
「ユニット」と呼ばれている歯科治療を行うための必需品です。
電気と空気の力で上下に動いてリクライニングもします。
そして、紙コップを置けばセンサーに反応して自動で水も出ます。(少し古い型になると紙コップの下に金属製の受け皿を置いてその重さで水が出るものや患者さんが自分でボタンを押して水をいれるタイプもあります。)
しかし、ユニットはただ動くだけのイスではなく、歯科治療で必要な基本的な設備が付属したスーパーマシーンなのです。

ちなみに、よく患者様から「このイスいくらくらいするの?」と質問がありますが、基本セットでも平均300万円程度です。(高い!!!)
なお車と一緒で、いろいろオプションがあってそれをつけていくと気づけば大変な金額になります。 また高級だと基本セットで1000万円くらいのものもありますが、機能に大きな差はありません。
高級外車と国産車の違いみたいなものでしょうか。
バブルの時代を生きた先生の中には高級ユニットを好む方も結構いるようですが、最近は国産ユニットがほとんどです。

歯科治療を行うための必需品・ユニット

ユニットテーブル

その「ユニット」にはテーブルがついています。テーブルの上に歯科用ミラーやピンセットなどの器具を置き、その下に歯を削るための器具があります。実はこの削る器具には種類がいくつかあり、歯を削ったり、銀歯を削ったり、削るものによって使い分けています。

タービン

タービン

その中で代表的なものがこれ「タービン」です。
キィーンっと嫌な音がする皆さんが嫌いなアレです・・・(笑)
この「タービン」は「回転切削器具」と呼ばれ、ユニットから圧縮した空気を吹き付けることで内部の翼を回転させ、歯を削っていきます。(この回転数は毎分約350,000~500,000回転です。)
なお「タービン」で歯を削る時は同時に水がでる構造になっています。
水をだす理由は

○削る時に生じる摩擦熱が歯に熱が伝わり痛み
 が出るのを防ぐ。
○削ったむし歯を洗い流す。
○器具の目詰まりを防ぐ。

といった「冷却と清掃」の為です。

コントラとストレート

コントラとストレート

そして、その隣にあるのは「マイクロモーター」と呼ばれるものです。
見た目は一見するとタービンと似ていますが、
「曲がっているもの(コントラ)」と「真っ直ぐなもの(ストレート)」の二種類があります。

このマイクロモーターはその名のとおり、超小型のモーターを電気の力で回転させています。回転数は毎分約10,000~20,000回転とタービンよりずっとゆっくり回っています。

タービンで歯の特に硬い部分を削り、マイクロモーターでやわらかいむし歯や入れ歯、銀歯などを削っているのです。

フットペダル

フットペダル

ちなみに、何かを削る時は足元にあるペダルを踏むと回転する仕組みになっているので、手でスイッチを入れる必要がありません。手で触る必要もないので清潔です!!!
ペダルを左右に動かしたり、ペダルを踏む力によって回転が速くなったり遅くなったりします。車の運転と同じかんじです。
歯科医師は皆さんの歯を削っている時、実は「足」で操作しているのです。
ですから、歯科治療は「手」はもちろんのこと「足」も器用でないとうまくいきません。

そして、「タービン」だけでは歯は削れません。その先に「刃物」をつけて初めて機能します。

バースタンド

バースタンド

歯を削る「刃物」には様々な種類があります。そのひとつが「ダイヤモンドバー」と呼ばれるこれです。
虫歯の大きさや削る部位にあわせて使い分けるので、様々な形や大きさが揃っています。
バーにはそれぞれ名前が付いており、歯科大学などで治療内容によってどのバーを使うか細かく勉強します。

前歯支台歯

前歯支台歯

写真は前歯にオールセラミックのかぶせものをいれるために、歯を削った状態です。
なんとなく削っているように見えるかもしれませんが、実はかなり細かく計算されたうえで歯を削ってこの形にしています。歯の先端部分は2ミリ削り角を丸める、おもて面は下3分の1を歯に垂直に2,5ミリ、そこから上は30度の角度をつけて・・・
たった1本の歯を削るだけでも結構いろんなことを考えています。
ですので、この歯を削るためには下の写真の数だけバーが必要とされています。

オルセラ形成用バー

オルセラ形成用バー

そして、バーの表面をよーく見てみると表面がザラザラしているのが分かりますか???
これは金属の表面になんとダイヤモンドの粒子が付いているからです。
だから名称は「ダイヤモンドバー」です。価格は一本500円程度です。(種類によってだいぶ変わりますが)
硬い歯を削るには地上でもっとも硬い物質のダイヤモンドで勝負です(笑)
しかし、ずっと使えるわけではありません。表面のダイヤモンド粒子が少しずつなくなり、
ものによっては4~5回で削れなくなってしまいます。つまりは消耗品なのです・・・(涙)